大変蒸れにくい高機能ポリウレタン手袋『テムレス』をレビュー

園芸作業の際、以下の様な問題から「手の装備」で悩んでいました。

『素手』で園芸作業 → ケガする事もあり、手洗いの際に爪に挟まった土を取るのが面倒。
『軍手』で園芸作業 → 夏場使うには暑く、水を吸うので水が絡む作業には不向き。
『薄手のビニール手袋』で園芸作業 → やたらと蒸れて、表面がツルツル滑る。
『ゴム手袋』で園芸作業 → 夏場に蒸れる。製品によってはゴム臭や石油臭が鼻につく。

そんな中、見つけたのが透湿防水ポリウレタン手袋『テムレス』です。
購入して約3ヶ月程使ったので、レビューしてみたいと思います。

ホームセンターで購入し、価格は522円でした。
→ テムレス | 商品詳細情報 | ショーワグローブ株式会社


『テムレス』は、1950年代に世界初の塩化ビニール手袋を開発し、数々のビニール・ゴム手袋を製造販売してきた日本が誇る企業『ショーワグローブ』さんが、2005年に開発した商品です。

■仕様
内容量：1双
サイズ：S、M、L、LLサイズ、色：ブルーのみ
重量：Sサイズ(20g)～LLサイズ(27g)
材料：脂部：ポリウレタン、繊維部：ナイロン、ポリウレタン
用途：農業、水産・漁業、清掃・サービス業、機械工業、自動車関連業、土木・建築業、園芸・造園業
開発年：2005年、販売元：ショーワグローブ株式会社、製造国：マレーシア

▼使用所の注意(※要約)
・アレルギー反応などが現れた時は使用を中止する。
・膨潤、浸透する事があるので高濃度の薬品・溶剤(ガソリン・ベンジン類)には使用しない。
・ガス浸透性、表面溶解性があるので揮発性の溶剤には使用しない。
・火傷するので熱いものに触れない。
・尖ったものなどで傷をつけない。
・巻き込まれるおそれがあるので回転体(ボール盤等)に使用しない。
・感電のおそれがあるので電気作業には使用しない。
・使用後は汚れを洗い落として陰干しして直射日光を避けて保管する。


先に、良い所などをまとめます。

◎良い所
・高い防水性。
・高い透湿性。
・耐油・耐洗剤性(溶剤等は不可)。
・ポリウレタン製なのでゴム臭がしない。
・高い滑り止め効果。
・コストパフォーマンスの良さ。
・バリエーション。(他にジャージテムレス、防寒テムレスがある)
・入手性の高さ。

×悪い所
・特になし。

？どちらとも言えない所
・主張しすぎるロゴ。(追記：洗濯を繰り返すと消えます。)
・やや、石油系のニオイ有り。(追記：使っている内に無くなりました。)
・控えめな伸縮性で、フィット感はそれなり。

それではレビューに移ります。

◆レビュー

▼外側(表側)～デザイン

■パッケージ表・裏

パッケージは普通のビニール袋包装です。
大きく赤文字で『透湿防水』と書かれているのが目を引きます。
近場のホームセンターでは5店舗中5店舗全てに置いてあったので、入手性は高そうです。


■装着感

購入したのはLサイズです。
伸縮性を売りにしている他のゴム手袋だとMサイズが丁度良かったのですが、テムレスは伸縮性がそれなりなので、Lサイズがキツすぎず丁度良い感じでした。
(サイズの問題があるので、最初の購入は試着が置いてあるホームセンターがオススメです。)

内側(裏側)には織られたナイロンの裏布が使われていて、肌触りはサラサラしています。
特に不快感は無く、装着感は良いです。


■透湿性能

『テムレス』は「JIS L 1099」の透湿実験において、従来の塩化ビニール製手袋よりも、約21倍も湿度を通しやすい事が証明されているそうです。
→ 透湿性｜試験のご案内｜BOKEN（ボーケン品質評価機構）
→ 日本工業標準調査会：データベース-JIS詳細表示

実際、真夏の炎天下の中、汗をかきながら作業した事がありましたが、普通のビニール・ゴム手袋と違って蒸れている感じは無く、不快感はありませんでした。
但し、水分を100%吸収して発散してくれるものでは無いので、過度の期待はしないで下さい。
あくまで、普通のビニール手袋や、ゴム手袋と比べて格段に良いという話です。


■滑り止め効果
指先と手のひら部分に特殊樹脂が施してあり、滑りにくいです。
素手や、すべり止め付き軍手・ゴム手袋と較べても、特に不便は感じませんでした。


■デザイン

作業用具として、デザイン性が無いのは仕方がない事だとは思いますが、目に入る位置でやたらと『テムレス』の印刷が主張してくるので、この部分は控えめにして欲しかったなと思います。

あと、色が何種類かあれば良いなと思いました。

追記：テムレスの印刷は使って洗濯を繰り返すうちに段々と消えていきました。
印刷が気になる場合は印刷部分を重点的に擦る事で消すことが出来ると思われます。

▼内側(裏側)

・汚れと洗濯
袖側の末端が開放されているので、時々、内側に土が入ってしまう事がありました。
また、汚れが溜まってくるので、定期的な内側の洗濯は必要です。
そんな時はテムレスをひっくり返して洗いました。
ゴム手袋を作る工場ではエアーの空気圧で裏返しますが、以下の方の様にすると工場と同じ様に簡単にひっくり返せます。
→ ゴム手袋を簡単にひっくり返す方法: 自分に使える便利メモ
あとは手で洗って吊るして陰干し。乾いたら同じ方法でひっくり返せばOKです。
(手っ取り早く膨らませるには、息を吹き込んで膨らませて下さい。)

・石油系のニオイ
ゴムは使われていないので、売り文句にある通りゴム臭はしませんが、やや石油系のニオイがあるので、気になる場合は上記の方法で内側を洗ってみるとニオイが和らぎます。
追記：洗っていく内に、ニオイは消えました。

・ジャージテムレス
尚、土が入りやすい場所で作業するという場合には、『ジャージテムレス』という、口の部分が伸縮性のあるジャージ素材になっていて、土が入りにくくなっているタイプもあります。
→ ジャージテムレス | 商品詳細情報 | ショーワグローブ株式会社

▼注意点

・耐久度はそこそこ
注意書きに書いてある通り、尖ったものには弱いです。
木の手入れに使った際、尖った部分で少し穴が空いてしまいました。
なので、耐久度は普通のゴム手袋と変わらない程度という印象です。

・塩素に注意
『テムレス』は、素材に「ゴム」では無く「ポリウレタン(ウレタン樹脂)」が使われていますが、ポリウレタンは特性として塩素に弱い性質を持っています。
Amazonレビューにも報告がありますが、キッチン用のハイターを使ったら溶けてしまったという話があるので、強い塩素中では使用しない方が良さそうです。

→ 活性塩素による水着のウレタン脆化性評価方法の検討 - グローバルテスト機関『カケン』
→ ゴム手袋が溶ける水水についての質問です。新し... - Yahoo!知恵袋
※ポリウレタン脆化性に関連する情報

・合成時から劣化するポリウレタン
あと、気になるのは経年劣化についてです。
ポリウレタンは、その優れた特性に対して加水分解などで劣化が早いので、テムレスがどのくらい持つものなのか気になります。
(合皮や靴のソール等が、環境によっては数年でボロボロになるアレです。
→ ポリウレタン　劣化 - Google 画像検索)
まだ何とも言えませんが、あくまで消耗品として考えて置いた方が良いですね。

※追記：2016年10月に、手首辺りの伸縮性が無くなり穴が空くようになりました。
割とハードに使って洗濯を繰り返し、結果として約28ヶ月も持ったので十分な耐久度です。

■その他

■使ってみた番外編
テムレスを飼い猫のブラッシングに使ってみました。


どうなったかというと、表面のザラザラが気持ち良いのか、しっぽをフリフリさせながら触らせてくれました。
テムレスに毛が付着する事も無く、「良いかも」と思ったのですが・・・
手でブラッシングする時と違って毛がまとまらず、今度は掃除が面倒な事になり、また、猫がテムレスにじゃれついてきて爪で少し穴が空いてしまいました。
(ー_ー;)
我が家では、この使い方はダメそうです。


■冬に向けてLLサイズを購入
テムレスを使って3ヶ月、気に入ったので、予備と共に一番大きいLLサイズのテムレスも購入しました。
目的は、内側に防寒手袋を重ねて使う為です。
実際に『テムレスLLサイズ』＋『インナー手袋』を試してみましたが、私の場合、軍手との組み合わせではキツくて、薄手の防寒手袋との組み合わせではピッタリのサイズに収まりました。
これなら、冬場も使えそうです。
雪かきが必要になったら、テムレスを付けてやってみようと思います。
追記：冬場の作業は快適でした。

一応、『防寒テムレス』という、内側に起毛パイルがついたモデルもあるのですが、起毛パイルが合体している為、中が汚れた時に洗いにくそうかなと思ったので今回はスルーしました。
→ 防寒テムレス | 商品詳細情報 | ショーワグローブ株式会社

追記：関東圏で2017年3月12日に放送されたTV番組『鉄腕DASH』内の企画、『DASHご当地PR課』の雪玉転がしにて、元大関の把瑠都さんと、柔道銀メダリストの篠原信一さんが、防寒テムレスを使っているのを目撃しました。
使っていた場所は、積雪量日本一を記録する事がある石川県の夏油高原で、平均気温-3℃という条件下でした。
防寒テムレス、思った以上に使えそうです。


■登山で使われるテムレス
調べていたら、テムレスを登山で使っている方のブログ＆公式ブログを見つけました。
→ 使えるゴム手袋「テムレス」 - 山岳ガイド赤沼千史
→ 冬の登山に防寒テムレス！？| グローブブログ | グロー部 | ショーワグローブ株式会社
そう聞いてみると、テムレスは『高い防水・防湿性』があるので、確かに登山グッズにピッタリです。
しかも、何かとお高い登山グッズよりも格段に安いのが嬉しい所だなと思いました。

◆まとめ

3ヶ月程ハードに使ってみましたが、不注意で小さな穴が数個空いてしまった以外、特に問題は無さそうです。
流石に真夏だと汗が発散しきれない場面もありましたが、それでも不快に感じた事は1度もありませんでした。

ホームセンターでの価格は550円前後。
普通のゴム手袋と比べると高く感じますが、機能面を考えるとコストパフォーマンスは抜群だと思います。
今後、テムレスは私の愛用品となりそうです。

最終更新日：2017/03/13

▼Amazon・楽天リンク


→ Amazon - テムレスの検索結果

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