ホイヘンス、土星の衛星タイタン着陸から10年

アメリカ航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)の協力により1997年に打ち上げられた土星探査機『カッシーニ』、その内部に搭載された小型惑星探査機『ホイヘンス・プローブ』が2005年1月14日に土星の衛星『タイタン』に着陸するという偉業を成し遂げてから今年で10年が経ちました。
2015年1月14日に、ホイヘンスが撮影した写真を使ってタイタン降下の様子を再現した振り返り動画がNASAから公開されていたので、メモしておきたいと思います。

→ 10年前の土星衛星タイタン着陸を、2分で振り返る動画 « WIRED.jp

→ ▶ Approaching Titan a Billion Times Closer - YouTube

ホイヘンスに搭載されたカメラが当時の最先端技術ながら90年代のものなので画像の解像度は低いですが、ちょっとレトロなSF映画の様な味のある動画に仕上がっています。

続いて、2005年当時の音声と動画をまとめておきます。

◆ 2005年に公開された音声＆動画ファイル

■ タイタンの音

→ Sounds of an alien world / Cassini-Huygens / Space Science / Our Activities / ESA
こちらのESAのサイトからは、ホイヘンスの音響センサ類によって録音された『タイタンの音』のMP3ファイルが2種類DL出来ます。

File 1 : acoustic during descent (※タイタン降下中のマイク音)

File 2 : radar conversion (※降下中、地表表面の性質を調べる為に、地表に向けて放ったレーダーエコーを、音声ファイルに変換した物)

マイク音からは窒素(97%)とメタン(2%)を主成分とするタイタンの大気による風切音が聴こえ、レーダーエコー音からは地表に近づくにつれてエコー音が大きくなっていく様子が聴こえます。


■ タイタン着陸までの動画

→ NASA - A View from Huygens - Jan. 14, 2005 - Movie
こちらは2005年にNASAが公開した動画その1です。サイトからは音無し版とナレーション付きの動画がDL出来ます。
(動画を直接DLという辺りが時代を感じます。2015年現在は、NASAもYoutubeの公式チャンネルで動画を公開する時代になっていますが、2005年当時はYoutubeが生まれたばかりの頃で動画サイトが流行る前でした。)

→ ▶ Huygens: Titan Descent Movie (2005.01.14) - YouTube

(※有志がYoutubeにアップした同動画)

タイタンの地表の様子や空の様子が擬似3D的に再現されていますが、歪みがあるので、じっくり観ると酔ってしまうかもしれません。

→ ▶ 探索機ホイヘンス 衛星タイタンに突入 - YouTube
こちらは動画その1に公開されているCG画像などを加え、日本語の翻訳と解説を加えてくれた方の動画です。
日本語解説がある事で、ミッション内容と成果がより分かりやすくなっています。


■ ホイヘンスのデータ付きタイタン降下中の動画

→ NASA - Titan Descent Data Movie with Bells and Whistles - Movie
NASAが公開した動画その2です。
降下中の写真と共に様々な機器のデータがグラフィカルに表示されている動画となっています。
動画は、約4時間の状態が約5分の48倍速で圧縮されています。

→ ▶ NASA - Huygens Probe Mission - Decent Camera - YouTube

(※有志がYoutubeにアップした同動画)

左下の緑色の軌跡が降下中のホイヘンスの動き、「Mount Everest」が比較用のエベレストの高さ、「Sun」が太陽の方向、「Cassini」がカッシーニの方向。
左上が降下中のホイヘンスのパラシュートの状態。
右側がミッション経過時間、スピード、回転、スイング状態、分光などです。

--(Lower left corner) Huygens' trajectory views from the south, a scale bar for comparison to the height of Mount Everest, colored arrows that point to the sun and to the Cassini orbiter.

--(Top left corner) A close-up view of the Huygens probe highlighting large and unexpected parachute movements, a scale bar for comparison to human height.

--(Lower right corner) A compass that shows the changing direction of view as Huygens rotates, along with the relative positions of the sun and Cassini.

--(Upper right corner) A clock that shows Universal Time for Jan. 14, 2005 (Universal Time is 7 hours ahead of Pacific Daylight Time). Above the clock, events are listed in mission time, which starts with the deployment of the first of the three parachutes.

音は、左の音がホイヘンスの動作音やクリック音などで、パラシュート展開やヒートシールドの解除音など。

Sounds from a left speaker trace Huygens' motion, with tones changing with rotational speed and the tilt of the parachute. There also are clicks that clock the rotational counter, as well as sounds for the probe's heat shield hitting Titan's atmosphere, parachute deployments, heat shield release, jettison of the camera cover and touchdown.

右の音は、降下カメラ/分光放射計(Descent Imager/Spectral Radiometer) の活動音と、ホイヘンスからカッシーニに送る電波信号の強度を示す連続階調音、13種類の科学パーツごとに割り振られた13種類のチャイム音などがある様です。

Sounds from a right speaker go with the Descent Imager/Spectral Radiometer activity. There's a continuous tone that represents the strength of Huygens' signal to Cassini. Then there are 13 different chimes - one for each of instrument's 13 different science parts - that keep time with flashing-white-dot exposure counters. During its descent, the Descent Imager/Spectral Radiometer took 3,500 exposures.

ニコ動での動画の反応はこちら。
ややコメントが荒れ気味ですが、気圧や温度に関する反応が、なるほどなと参考になります。

尚、ホイヘンスはタイタン着陸後1時間で役目を終えましたが、土星軌道上を周回中のカッシーニは原子力電池3個の力によって10年間ミッションを継続中。
90年代の技術なので個々のデータ量は多くないと思われますが、送られてきたデータ総量は514GBに達したそうです。

※情報元：2005年当時の天文ニュース記事
→ ホイヘンス着陸成功、地表の最新画像とタイタンの音を公開 - AstroArts
→ ホイヘンスが垣間見たタイタン- スペースサイト！
→ タイタン着陸の最新動画 | 土星 | sorae.jp