ビワの実で杏仁豆腐のリベンジ【※問題を追記】

前回ビワを収穫した時に、ビワの実を使った杏仁豆腐を作りました。
→ 袋掛けしたビワの収穫、ビワの実で杏仁豆腐
牛乳・生クリームの代わりに豆乳を使ったビワ杏仁豆腐です。
ただ、味的には満足のいくものではなかったので、最後のビワを使って改良版のビワ杏仁豆腐を作ってみました。


前回同様、詳しいレシピはこちらで　→ ビワニンドウフ*びわの種で杏仁豆腐 by Keyco* [クックパッド] 簡単おいしいみんなのレシピが101万品


※2017/12/19追記：

◆重要

2017年11月6日に、厚生労働省からビワの種が毒性のあるシアン化合物を含むとして、ビワの種の輸入品が検疫対象に追加されました。
→ Taro-171106 シアン化合物含有食品の取扱い - 0000183546.pdf

この追加から1ヶ月後の12月5日には、農林水産省から「ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう」との注意喚起が掲載。
→ ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう：農林水産省

これらの情報が拡散されると共に、レシピサイト「クックパッド」「楽天レシピ」から12月8日までにレシピが一掃され、注意文が掲載される様になりました。
（※レシピアプリ系にもレシピは見つかりません。）

尚、注意喚起の内容は、シアン化合物を10ppm以上を含み、大量摂取する可能性のあるビワの種の加工品に向けたものとなっており、多くの人が知りたいであろう、生の種一個のシアン化合物の量は分かりません。


この問題を受け、記事をどうするか色々考えましたが、注意喚起も兼ねて、当方では記事を削除しない事にしました。
合わせて、「生の種一個に含まれるシアン化合物は不明」という事と、「以下のレシピを実践する場合は、自己責任で取り扱う事と、いかなる被害が起こっても当方に責任を負わない事」を明記して置きたいと思います。


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まず、豆乳にコクが足りない問題の解決に取り組みました。

豆乳に合いそうなコクを与えるものとして味噌や醤油を入れることを考えましたが、匂いがミソや醤油の匂いになってしまうので却下。
料理を試行錯誤するのも楽しいですが、今回は手っ取り早くネットで豆乳にコクを与える方法を探してみました。

探しているうちにこんな記事を発見。
→ 豆乳を濃縮加工、みりんを添加… アイスの醍醐味であるコクを実現 - ワークスタイル - nikkei BPnet
豆乳を煮詰める事と、みりんを加える事でコクが与えられる事が判りました。

というわけで煮詰めてみりんを加えてみることに。みりんを加えて煮詰めると確かにコクが生まれ、さらに塩少々入れることで味が深まりました。
また、以前、NHKのためしてガッテンで、酒かすを料理するとチーズのような味になるというのを思い出し、酒かすを少量加えてみることにしました。酒かすを溶かして一煮立ちさせると更にコクが追加されました。
そして、砂糖では無くサトウキビのキビ砂糖を入れて、コクのゴリ押し追加。
ここまでやっても牛乳＋生クリームには勝てそうにないのが困ったものですが、ひとまず問題だったコクは生まれました。
注意しないと行けないのは、ゆっくり煮詰めないと焦げ付く事です。また、ダマになるので煮詰め終わった後裏ごししました

杏仁豆腐の上に載せるビワは、砂糖を溶かしたシロップに漬けて一度レンジでチン。その後冷やしてしっかりビワにシロップが染み込むようにしました。

香りの決め手になるビワの実は、茶色い薄皮を剥いて中の白い部分を2個すり下ろして水につけ、裏ごししました。前回0.5個だったので、今回は2個使いました。

後は水で戻した寒天を入れて溶かした後、豆乳とビワの実を浸した液を入れて一煮立ちさせます。その後、裏ごしし、カップに入れて冷蔵庫へ。

固まってきたら、砂糖と水を煮立たせシロップをつくって杏仁豆腐の上からかけて再び冷蔵庫へ。
ビワ杏仁豆腐が固まったら皿に盛り付けて、上からビワのシロップ漬けを載せて完成です。

味は前回より格段に美味しく出来ました。香りもよく判るようになり、裏ごしにより舌触りも良くなりました。


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※2017/12/19追記：

◆ビワの種問題の考察

『ビワの種』に、シアン化合物が含まれているのは、この記事を書いた2011年当時でも周知の事でした。
ただ、杏仁豆腐の本場である中国・台湾での原料、『アンズ(杏)の種』にもシアン化合物が含まれている事、代用される『アーモンドの種』などにもシアン化合物が含まれているという情報もあった事で、「大量に食べなければ大丈夫」という認識が広まっていたのも確かです。
(※実際は、種をローストしてシアン化合物を減らすとの事）
→ 杏仁のうんちく　【杏仁豆腐.com】
シアン化合物が含まれていても大量に食べなければ大丈夫という点では、ギンナン(銀杏)という事例もあり、安心していました。

今回、ビワの種が問題になってしまった最大の背景としては、シアン化合物が濃縮されやすく、簡単に大量摂取できる『ビワの種の粉末』に根拠不明な理由を付けて、『健康食材』として売り込む業者が増えてしまったという事でした。
漠然とした健康食材としての需要が増えたと思われる中、海外から業者が輸入しようとした粉末の中に、シアン化合物の濃度10ppmを超えたものがあり、検疫の目に止まったという流れです。

他の問題背景としては、レシピサイトの台頭があります。
例えば、うちの様な個人ブログが掲載していた場合、自己責任の『キワモノ』食いと言われても仕方ありませんが、レシピサイトの場合は一般的な『食材』として広く認知される事になります。
検索するとレシピサイトの記事がトップに出てくるので、皆それを見る事になり、「皆が食べてるなら問題ない」という認識に繋がります。
結果、次々とレシピが増えてしまう事に繋がりました。

そして、問題発覚後、SNSでスグに拡散されました。
→ 農林水産省が『ビワの種子は食べないようにしましょう』という注意喚起→レシピサイトや通販サイトには大量の『ビワの種』の食品が… - Togetter
健康問題が気になる人は多いからか、問題の拡散はとても早いものでした。(私が注意喚起を知ったのもSNSです。)

今回の問題で、粉末の自主回収に乗り出した業者も出ました。
→ [大分市]びわの種粉末の自主回収についてお知らせします
しかしながら、シアン化合物の濃度が10ppm以下のものは食品衛生法で問題無いので、一定数は残るものと思われ、実際に問題後も、Amazonや楽天などで出品されている粉末は多数残っています。

とはいえ、料理に使っていた人からすれば、タダ同然で杏仁豆腐の代用材料が手に入るから使っていたのであって、この問題発覚後に粉末を購入してまで使うかと言えば使わないのが実情。
調べればスグに出て来るギンナンの最大摂取量と同じく、摂取量が分かれば良いのですが、それも不明。

『ビワの種＝毒＝不健康』という認識が広まってしまった事で、少なくとも杏仁豆腐の代用材料として使う人は居なくなると思いますが、はてさて？


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最終更新日：2017/12/19