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Home > ブログ > 故障・分解・改造・修理 > PC電源、Tagan BZ800が壊れたので分解してみた

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2011年の12月頃、メインPCが壊れました。原因は電源の故障です。
原因解明の為に故障した電源を分解したので、今日はその話をしてみたいと思います。

なお、コンデンサに電荷が残っている可能性がある為、電源の分解には感電などの大きな危険を伴います。分解する際は自己責任でお願いします。いかなる損害が生じても当方は一切の責任を負いません。

 前置き


壊れた電源は、ATX電源のTagan BZ800(中身TOPOWER製)で、代理店はabee(アビー)です。2009年に販売終了の処分特価で買った物なので、もう販売はされていません。
blogimg_bz_top.jpg
このBZ800は、2009年12月にグラボをRADEON HD5850にする際に、大出力の電源が必要になった為、探しだしたものです。
800Wの大出力や、グラスファイバー基板・アクティブPFC採用、当時としては高効率な80+(スタンダード)認証獲得に惹かれ、そして、光るのがカッコイイ、プラグイン式なのが決め手になり購入に至りました。
買ったのはドスパラで、値段はこの出力では格安の6,480円でした。
(評判の良い大出力電源は高価な為、この値段は大変魅力的だった覚えがあります。)


 故障時と故障箇所割り出し


壊れた時は突然で、電源が落ちてそのまま起動できなくなりました。
症状から電源かマザーボードの故障だと思い、電源に電源テスターを繋げてみたら起動せず、電源が故障したと判明したという訳です。
BZ800を分解してみると案の定、複数の電解コンデンサ(キャパシタ)が『膨張、液漏れ』俗に言うなら"妊娠"状態で亡くなっていました。
blog20120222deng_IMG_7596_mini800px.jpg
ちなみに、使った電源テスターはこれです。
買ってから4年位経ちますが、今でも同じようなテスターが売っていますね。
Amazonで1,000円~2,000円程度


 分解


では、内部を見てみましょう。
blog20120222deng_IMG_7588_mini800px.jpg
分解したBZ800の写真です。アクティブPFCの素子と、スイッチング素子に付いたヒートシンクが大きくて立派ですが、それだけAC-DC変換効率が悪くて熱を出すということを示しているかと思います。
まあ、2009年に主流だった80+(スタンダード)相当の効率なので、当時としては良い方だとは思います。
あと、コイル鳴き防止の為か、コイルが樹脂状のもので固定されていたりします。

続いてBZ800基板裏面と故障箇所についてです。
裏面です。
blog20120222uram_IMG_7640_mini800px.jpg

blog20120222uram_IMG_7663_mini800px.jpg blog20120222uram_IMG_7681_mini800px.jpg
うーん・・・パッと見、汚いという印象です。
特に、フラックスが残っていたり、基板がこげ気味の所があったり、ハンダに穴が開いていたり、チップ抵抗が激しく斜めっていたりしているのは気になる所でした。
ただ、ネット上で色々な電源の裏面を見る限り、ハンダ付けが汚いものが多く、こんなものなのかなとは思います。

電源のハンダ面が汚くなる理由としては、手作業で鉛(Pb)フリーの溶けにくいハンダを使っているのが理由の一つとされています。後は製造国と工場次第ですが、この電源、製造国を見ると中国製でした。・・・お察しですね。
こんなハンダ付けでも、動作チェックは通っているわけで、問題無いと言えば問題は無いです。

大容量のコンデンサ周りは、コンデンサの微細振動によるハンダクラック防止の為か、ハンダがモリモリ大量に盛ってあります。あと、変色した樹脂が二ヶ所くっついているのですが、何らかのミスを修正した跡でしょうか?謎です。


次に、使用電解コンデンサの特定と、コンデンサの故障箇所を写真で紹介します。
blog20120222deng_IMG_7548_mini800px.jpg blog20120222deng_IMG_7563_mini800px.jpg blog20120222deng_IMG_7638_mini800px.jpg
1次側のコンデンサです。メーカーロゴが隠れてしまって判りにくいですが、TEAPOと書いてありました。調べた所、TEAPOは台湾のメーカーで、台湾コンデンサメーカーの中では比較的良いメーカーだそうです。
コンデンサメーカー一覧サイト - T項目

しかし、このコンデンサ、残念ながら上面の爆風弁が若干盛り上がった妊娠状態になっていました。指で触るとよく判ります。
これが目に見える一つ目の故障箇所になります。原因としては85℃コンデンサなので、熱に耐え切れず寿命が尽きてしまった事が考えられます。

blog20120222deng_IMG_7556_mini800px.jpg

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2次側のコンデンサです。CapXonというメーカーの105℃コンデンサが2つ壊れていました。
1つは妊娠状態、1つは中の電解液が漏れ出して結晶化しているのが判ります。(+ドライバーで示した箇所)これが故障箇所2つ目です。

CapXonも台湾コンデンサメーカーで、台湾で唯一、韓国SAMSUNG(サムスン電子)から品質認定合格書を受けたそうです。SAMSUNGから、というのが良いのか悪いのかよく解りにくいですが、下手な台湾コンデンサメーカーよりは良いようです。
コンデンサメーカー一覧サイト - C項目

ついでに、BZ800に使われていた、別メーカーのコンデンサも掲載。
blog20120222deng_IMG_7605_mini800px.jpg
その名も、SAMSONです。SAMSUNG(サムスン電子)では無いです。調べてみたところ弱小の中国コンデンサメーカーでした。105℃のコンデンサで、PWMコントローラらしきチップの周辺に使われています。
コンデンサメーカー一覧サイト - S項目
ちなみに、SAMSUNGは中国名で三星、SAMSONは三美と読むそうです。
他にSAMXONで三信、SAMYOUNGで三瑩といったメーカーもあります。・・・ややこしいですね;


 故障要因の考察と、反省点、まとめ


壊れた要因は、BZ800の設計やコンデンサの品質が一つあるかと思います。まず、1次側のコンデンサが85℃までの対応品というのが問題ですね。
これが105℃までの対応で、尚且つ日本製だったならば寿命は伸びていたかもしれません。

また、2次側のコンデンサの壊れた箇所がケーブルやコイルなどで密集していて、冷却用のファンの風が当たり難い設計なのも問題だなと思いました。コンデンサが高温になると、アレニウスの法則に従って電子部品の寿命は短くなっていくわけで、総じて電源の寿命に影響してしまいます。

それと、PC内の熱対策が甘かったという問題もあったと思います。
ゲーム中、CPU+グラボの排熱で電源の排気が熱くなるのは判っていたのですが、ケースファンを高速で回すことでどうにか対処できていたと甘くみていました。この点、もっと排気をよく考えるべきだったと反省です。
特に2011年の夏はネトゲ三昧だったので、グラボとCPUの熱で電源にかなりのダメージを与えてしまった可能性があります。そもそも、PC内の熱をケースファン+電源ファンで排熱するという構造が電源寿命を縮めているわけで、電源をPCケースの真下に置けるケースや、煙突効果を狙った天井ファン付きケースの導入も考えたほうが良いなと思いました。

このBZ800、2年間の寿命だったわけですが、値段や内部クオリティを考えると2年の寿命を短いと見るか長いとみるかは微妙な線です。
せめて、短くて3年、長くて5年はもって欲しかったというのが本音になりますが、値段の割に十分な期間使えたとポジティブに考えた方が良いのかなとも思います。

BZ800はコンデンサ交換で修理せず、廃棄処分になると思います。他の電子部品も壊れている可能性があり、検証するための機材も知識も無い為です。
次に買う電源は、設計やコンデンサがちゃんとしているものを買いたいと思います。


※2016/11/09:最終更新

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