日立、WesternDigitalへHDD事業を売却。と、脳内整理

2011年3月7日、日立がWestern DigitalへＨDＤ事業を売却する発表をしました。

→ 日立、世界最大手へのＨＤＤ事業売却発表　3500億円で(日本経済新聞)
＜http://s.nikkei.com/e7qnl0＞
→ 【PC Watch】 日立、HDD事業をWestern Digitalに譲渡
＜http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20110308_431804.html＞

Twitter経由で知って驚きましたが、日経の記事を読んでみると、市況変動で収益が安定しない事業を切り離すというのはよく判る話でした。SSDの登場でHDDの市場は不安定になってそうですし、一般人はTB級のHDDを欲しがらない傾向もあり大容量化と需要のバランスも微妙です。製造プロセスの微細化によりSSDの大容量化も進みそうですし、SSDの弱点であった書き込み回数の制限もTrimコマンドの実装や、2009年のX25シリーズのヒットも記憶に新しいIntelによる技術革新辺りから改善されています。
HDDは大容量化、SSDは高速化で住み分けが出来ている現状、また、日立が2007年の赤字のような状況では無い状況下で、HDDの価値がある時に高値で売却したと考えれば、最良の決断だったのかもしれません。
しかし、日立は損しない幕引きをし、WDは業界トップになれたと、特に問題無さそうですが、ユーザー側としては選べるHDDメーカーが減ってしまったのは問題です。WDにはデータを安心して保存しておける、良いHDDをつくって貰いたいものです。

そういえば、IBMが日立に買収された流れや、富士通やMaxtorが買収されたのはいつだったか？とか脳内でゴチャゴチャになっている部分もあるので、まとめておきたいと思います。探したら昔、2ちゃんの何処かで拾ったコピペがあったので、それに検索補完を加えて脳内整理してみました。

2011/05/04追記

1999年09月　WesternDigitalが、Caviarシリーズのチップ不良による致命的欠陥で約40万台をリコール。　→リンク1、2
2000年　　　　 IBMのガラスプラッタ採用のDTLAシリーズでファームウェアの不具合による突然死が多発し、
米国で訴訟事件となる。　→リンク、2
2000年10月　MaxtorがQuantumのHDD部門を23億ドルで買収することを発表。　→リンク
2001年　　　　 Quantum、FireBallフィリップスチップの焼損事件。　→リンク1、2
2001年04月　MaxtorがQuantumの買収を完了。　→リンク
2001年08月　富士通、赤字で3.5インチIDE撤退へ。　→リンク
2001・02年 　 富士通のMPGシリーズが、CIRRUS LOGIC製LSIの異常発熱で壊滅。米国で集団訴訟。→リンク、2
2002年　　　　 日立が、赤字のIBMのHDD部門を20億5000万ドルで買収。　→リンク1、2
2003年01月　日立が、IBMのHDD部門を買収を完了。3年後に日立の完全子会社化へ。　→リンク
2004年　　　　 Maxtor、6Y・7YシリーズSmoothチップ焼損事件。　→リンク
2005年　　　　 6BシリーズSmoothチップ焼損復活。Maxtorを買収したSeagateが苦しみを引き継ぐ。　→リンク
2005年12月　SeagateがMaxtorを19億ドルで買収することを発表。　→リンク
2006年05月　SeagateがMaxtorの買収を完了。　→リンク
2006年　　　　 Samsung、貧弱な放熱構造による発熱でNAS・外付けケースで問題多発。　→リンク
2007年　　　　 Seagateは、CSS方式にこだわり続け、発熱・騒音・低温病を克服できず。　→リンク1
2009年01月　Seagateが、Barracuda 7200.11シリーズなどの不具合発生を公式に認める。　→リンク1、 2、 3
2009年04月　東芝が、富士通のHDD事業譲渡を締結。約300億円。東芝ストレージデバイス設立　→リンク
2009年10月　東芝が、富士通のHDD事業譲渡を完了　→リンク
2010年　　　　 WestanDigital、CaviarGreenEADS/EARSシリーズ低速病問題。 →リンク1、2
2010年　　　　 SAMSUNG HD155UI/HD204UI(2TB)のファーム問題による、データ破損。　→リンク1、2、3
2010年　　　　 HDS722020ALA330(2TB)などをWindows XPかつIDEモード時のコピー、デフラグ低速問題。　→リンク
2011年03月　日立が、Western DigitalへHDD事業を43億ドル(3500億円)で売却する事を発表　→リンク1、2
2011年04月　SeagateにSamsungのHDD部門を統合。SeagateからSamsungへ総額13億7500万ドルの支払いへ　→リンク

こんな感じでしょうか。時系列別にまとめられて、ずいぶんと頭の中がすっきりしました。

2011/03/10追記
今回の売却について解りやすい記事です。
→ 【元麻布春男の週刊PCホットライン】 日立がHDD事業をWestern Digitalへ売却した背景